カメラレンズの選び方:初心者でも失敗しない「一本目」の見つけ方

カメラの豆知識 / by コメットさん /

デジタル一眼やミラーレスカメラを購入し、いざ撮影を始めようとしたとき、多くの人が直面する最初の壁。それが**「レンズ選び」**です。

カメラ本体(ボディ)は買い替えても、レンズは長く愛用できる「資産」とも言われますが、その種類や用語の多さに戸惑う人も少なくありません。

本記事では、カメラ初心者が「キットレンズから卒業したい」「撮りたいものに合わせてレンズを選びたい」と考えたときに、失敗せずに最適な一本を見つけるためのロードマップを、基本用語の解説からジャンル別のおすすめまで、徹底的に解説します。

はじめに:なぜレンズが重要なのか?

「いい写真を撮るには、高いカメラが必要だ」と思っていませんか? 確かにカメラ本体の性能も重要ですが、写真の「味」や「表現力」の大部分を決定するのは、実はレンズです。

レンズは、光を取り込み、その像を結ぶカメラの「目」の役割を果たします。同じカメラボディを使っても、レンズを変えるだけで、写真の明るさボケの大きさ写る範囲、そして最終的な描写のシャープさが劇的に変わります。

高性能なカメラを持っていても、標準キットレンズだけで満足しているなら、あなたはまだそのカメラのポテンシャルの半分も引き出せていないかもしれません。

ステップ1:レンズの基本用語を理解する

レンズを選ぶ際に必ず目にする、最低限知っておくべき二つの重要な用語を理解しましょう。

1. 焦点距離(mm):写る範囲と圧縮効果を決める数字

レンズの名称に必ず含まれる「50mm」や「24-70mm」といった数字が焦点距離です。この数値が、写真に**「どこまで広く写るか」「遠近感がどう表現されるか」**を決定します。

焦点距離の分類焦点距離(目安)特徴と用途
広角35mm以下広く写る。風景、星空、狭い室内撮影。遠近感が強調され、壮大な表現に。
標準35mm ∼ 85mm人間の視覚に近い自然な写り。スナップ、ポートレート、日常の記録。
望遠85mm以上遠くのものを大きく写せる。スポーツ、動物、圧縮効果を活かしたポートレート。

【カメラの規格に注意!】 フルサイズセンサー機では上記の通りですが、APS-Cやマイクロフォーサーズ機では、焦点距離が**「クロップファクター(倍率)」**で換算されます。例えば、APS-C機(約1.5倍)で50mmレンズを使うと、フルサイズ換算では約75mm相当の画角になります。

2. F値(開放絞り):明るさと「ボケ」の大きさを決める

レンズの名称の「F」の後に続く数字(例:F1.4、F4)がF値(絞り値)です。F値はレンズがどれだけ多くの光を取り込めるか、つまり**「レンズの明るさ」**を示します。

  • F値が小さい(例:F1.4、F2.8):
    • レンズが明るい。暗い場所でもシャッタースピードを稼ぎやすい。
    • ボケが大きい。被写体を背景から際立たせる表現が可能になる。
    • 高価な傾向にある。
  • F値が大きい(例:F8、F11):
    • レンズが暗い
    • ボケが少ない(全体にピントが合う)。風景全体をシャープに写したいときに適している。

特に背景を美しくぼかしたいポートレートや、光量の少ない夜景・室内撮影では、F値の小さい**「明るいレンズ」**が求められます。


ステップ2:レンズの種類を知る

レンズは大きく分けて、焦点距離が固定された単焦点レンズと、焦点距離を変えられるズームレンズの二種類があります。それぞれの特性を知りましょう。

1. 圧倒的な表現力:単焦点レンズ

単焦点レンズは、焦点距離が固定(例:50mmのみ)されており、ズームができません。

メリットデメリット
① 高画質・高描写力ズームできないため、自分が動いて構図を決める必要がある。
② F値が小さい(明るい)汎用性に欠ける。持ち運ぶには複数本必要になる。
③ 圧倒的なボケ表現
④ コンパクトで軽量

単焦点レンズは、構造がシンプルな分、ズームレンズよりもF値を小さくできるものが多く、圧倒的な描写力と、背景をトロけるようにぼかす表現力を持っています。撮影の腕を磨きたい初心者の一本目として、非常におすすめです。

2. 抜群の利便性:ズームレンズ

ズームレンズは、焦点距離を自由に変えられる(例:24mmから70mmまで)レンズです。

メリットデメリット
① 汎用性が高い単焦点レンズに比べてF値が大きくなる傾向がある(暗い)。
② 一本で多様なシーンに対応一般的にサイズが大きく、重くなる。
③ 構図決定が早い描写力は単焦点レンズにやや劣ることがある。

特に一本で旅行やイベントなどあらゆるシーンに対応したい場合は、**標準ズームレンズ(24-70mmなど)が非常に便利です。ズーム全域でF値が変わらない「通し」**F値のレンズ(例:F2.8通し)は高性能ですが、高価になります。


ステップ3:撮りたいもの別!おすすめレンズジャンル

あなたの撮りたい写真のジャンルが明確であれば、最適なレンズの焦点距離もおのずと決まってきます。

1. 【人物・ポートレート】を撮りたい

おすすめ焦点距離おすすめレンズタイプ特徴
50mm、85mm(標準〜中望遠)単焦点レンズ(F1.8、F1.4)人物の立体感を自然に表現でき、背景を大きく美しくぼかせる。85mmは被写体と適度な距離が取れ、自然な表情を捉えやすい。

2. 【風景・夜景】を撮りたい

おすすめ焦点距離おすすめレンズタイプ特徴
14mm、24mm(広角)広角ズームレンズ(F4など)広い範囲を写し込み、遠近感を強調することで雄大な風景を表現できる。夜景や星空撮影には、F値の小さい広角単焦点が特に有効。

3. 【スナップ・街撮り】を撮りたい

おすすめ焦点距離おすすめレンズタイプ特徴
35mm、50mm(標準)単焦点レンズ(F2以下)人間の視野に近い自然な画角で、日常を切り取るのに最適。コンパクトなものが多いため、カメラを持っての街歩きが苦にならない。

4. 【スポーツ・動物】を撮りたい

おすすめ焦点距離おすすめレンズタイプ特徴
200mm、400mm(望遠)望遠ズームレンズ被写体との距離がある場合でも大きく引き寄せて撮影可能。動きの速い被写体をブレずに捉えるため、手ブレ補正機能(VC, VRなど)付きが望ましい。


ステップ4:失敗しない「一本目」の選び方

「結局、最初に何を買えばいいの?」という疑問に対する、確実なアンサーを提示します。

結論:最初に買うべきは「標準単焦点」か「標準ズーム」

あなたが何を撮りたいかによって答えは変わりますが、レンズ沼に片足を踏み入れるための、最もコストパフォーマンスが高く、学びの多い一本は、**「明るい標準単焦点レンズ」**です。

【おすすめ1】 F1.8の標準単焦点レンズ(例:50mm F1.8)

  • 理由: 描写がシャープで、背景を大きくぼかせるF1.8程度のレンズは、信じられないほど安価で手に入ります(メーカーにもよりますが、数万円程度)。
  • メリット: 「ボケとは何か」「絞り値を変えるとどうなるか」といった写真の基礎を深く学ぶことができます。ズームができないため、被写体に対する自分の立ち位置や構図を意識する訓練にもなります。
  • 注意点: ズームができないため、最初は不便に感じるかもしれません。

【おすすめ2】 高倍率ズームや標準ズーム

  • 理由: 一本で広角から望遠までカバーできるため、レンズ交換の手間がなく、旅行やイベントでの汎用性は抜群です。
  • メリット: とにかく利便性を最優先したい人向け。これ一本あれば、ほとんどのシーンに対応できます。
  • 注意点: 単焦点レンズのような大きなボケは得られず、F値も大きくなりがちです。

まとめ:レンズ沼は楽しい!まずは「表現」を楽しもう

カメラレンズの世界は奥深く、「レンズ沼」という言葉があるように、一度足を踏み入れるとたくさんのレンズが欲しくなってしまうものです。

しかし、レンズ選びの鉄則はシンプルです。

  1. 撮りたいものを明確にする。(ポートレート?風景?スナップ?)
  2. 予算を決める。(F値が小さく高性能なレンズほど高価になる)
  3. まずは安価な「標準単焦点」で、ボケの楽しさを体験する。

レンズはあなたの写真表現を広げるためのツールです。難しく考えすぎず、まずは**「このレンズで何を撮りたいか?」**をイメージしながら、最高の「一本目」を見つけてください。あなたの写真ライフが、さらに豊かになることを願っています。

コメットさん
コメットさん
編集部

写真と映像、ガジェットも好きな人。必死に生きることは目分量。